実際この目で生の古墳を一度見たいと思っていました。
その時代にもたくさんの人々が生きていて、命をつなぐ毎日の営みがあって、亡くなった人を土に返して、
全く知らないただの「村人1」の人にも、親や子供、愛しの伴侶がいて、笑ったり怒ったりした日々を思い出してお別れの涙を流したのだろうなぁと思う。
その村人1と、この大きな大きな古墳に入った人では何が違うのだろうと、しみじみ考えてしまう。
たくさんの人がせっせとその時代の最先端の知恵と技術を用いて、その人のためのお墓を作る。
実際見た古墳の石たちは、それはそれは大きくて、天井もしっかりと積まれていて、苦しい労働も間違いなくあっただろうけれど、この作業に関わった人々の誇らしさも同じ位石に染み込んでいた。

古墳は当時の人々の祈りの場だったのだろうな。
政治力や権力をかねそろえたカリスマが眠る場所。
村人1もカリスマも、同じ数の骨しかないのに、ずいぶん違う扱われ方だな。
比較するとカリスマの方がすごいように見えるけれど、カリスマはカリスマで苦労も多いし、死んでからもあれこれ言われてゆっくり眠ることもできない。
どんなに大きなお墓を作っても、永遠の権力などありはしないから、やっぱりいつかは無念が残るだろう。

個人的には古墳が好きだ。
石の立体パズルがたまらなく美しい。

石舞台古墳
石舞台古墳